活動の年次記録

石川理事長のよこがお

■ 石川金治理事長に聞く

青山東京都副知事にBankTown整備の支援要請


石川理事長


■ 理事長に聞く  第6回(平成19年5月)

平成18年度を振り返る
(編集)
平成18年度は、NPOとして活動を開始してから5年目でしたが。
(石川)
街づくりの準備段階として、節目の年になったと思います。
NPOとして、最も重要な課題は、地元の皆さんが安全・快適な街づくりの必要性を理解し、自ら地域の問題点とその解決策を見つけ出すために議論を開始することです。
ワークショップが開催されたことは、大きな意義がありました。
(編集)
かなり参加者が多かったですね。
(石川)
ワークショップに先立ち8月10日に水害に関する地域の実情を説明したのですが、その模様が9月1日のNHKスペシャルで放映されたことが一因です。第1回(12月16日)に40人、第2回(1月27日)に30名の熱意溢れる方が参加しました。
自助・共助・公助の考えに基づき、自分たちが何を実行すればよいかを考え、それを実行していく端緒になると期待されています。
(編集)
18年度も当NPOの重点事業として、葛飾・江戸川両区に水位表示板設置を働きかけてきましたが。
(石川)
葛飾区では、荒川流域を中心に、電信柱180本に水位表示をする方針が打ち出され19年度に実施されます。
江戸川区では、18年度で小学校6箇所、中学校29箇所と公園46箇所に水位表示が進められ19年度では事務所6箇所、駅広、中川堤防等に水位表示が設置されます。
(編集)
水位表示の設置は随分進みましたね。
(石川)
これにより、自分がどの高さの所に避難すればよいかの見当がつきます。
地元の認識が高まり、さらにワークショップにより防災・減災の心構えを持って頂ければ、街づくりの活動を担う地元の人材が増えていくと思います。
(編集)
19年度は、地元の皆さんの活躍が期待できますね。有り難うございました。

■ 理事長に聞く  第5回(平成18年5月)

平成17年度を振り返る
(編集)
平成17年度はどういう1年でしたか。
(石川)
昨年度は、浸水シミュレーションシステムの作成、水位表示板の設置、沿川での気温測定等の活動を行うと共に、好評裡にシンポジウムを開催する等実り多い1年でした。
(編集)
その中で一番大きな成果は、何といってもシンポジウムの開催ですね。
(石川)
NPOの地元のメンバーの皆さんが中心になって、地元町会の方々に動いていただき、約350人が参加され、盛会裡に終りました。これはNPOにとって画期的なことだと思います。
(編集)
当日の参加者からアンケートで感想を寄せられていますが。
(石川)
アンケートは120通が回収されました。回答者の9割が葛飾・江戸川両区の在住または在勤者でした。シンポジウムは、地域住民の皆さんに、居住地が低地であるとの認識と防災・減災の心構えを持っていただくことを目的にして開催しました。参加された地元の皆さんにこの開催趣旨が十分理解を頂けたと思います。
(編集)
「シンポジウムを身近な所で開催して欲しい」という意見が寄せられましたね。
(石川)
会場設営と人集めをやって頂ければ、NPOから人を派遣し、説明に当たることは可能です。展示物の貸し出しも、搬入・搬出等の手配をしていただければ可能です。
(編集)
「一時避難場所の確保」と「新小岩公園のスーパー堤防化」が主要課題となりましたが。
(石川)
当面の現実的な課題であり、地元の皆さんに論議を深めていただき、水害・地震水害に対する意識を高めていただくためにも大きな意義があったと思います。
(編集)
昨年度に引き続き地元の方と共同で気温測定を行いましたが。
(石川)
河川冷気の有効活用に関する研究の一環として実施しています。河川の関心を高めるために大事な活動であり、今後も継続して行きたいと思います。
(編集)
いろいろとありがとうございました。

■ 理事長に聞く  第4回(平成17年11月)

ニューオーリンズ水害に学ぶ
(編集)
 
ハリケーン・カトリーナは、米国南部に未曽有の水害をもたらしました。この水害から学ぶべきことが多いと思いますので、理事長に見解を伺います。とりわけ被害の大きかったルイジアナ州ニューオーリンズ市は、どんな所ですか。
(石川)
ミシシッピー川の堆積で出来た海抜0mの低地で、周囲を輪中堤で囲まれた水害に弱い街です。
(編集)
その輪中堤が破堤したわけですね。
(石川)
この街は何百kmにも及ぶ輪中堤で守られていたのですが、水害をもたらした堤防破壊は僅か2箇所です。それも堤防天端からの溢水(オーバーフロー)ではなく、堤防が基底部から根こそぎ破壊されたのです。
(編集)
設計や工事に問題があったのですか。
(石川)
豊かな国、技術力の優れた国が、万全を期して造った堤防ですが、何百kmもあれば、1、2箇所は自然の猛威に耐えられない所が出てきます。「自然の力は人智を超える」ということですね。
(編集)
2箇所が破堤して、どんなことになったのですか。
(石川)
0m地帯で破堤しますと、水深5mから10mの水流となります。その勢いは、土石流のような破壊力とスピードがあります。水量は源が海ですから無限です。1箇所の破堤で、街中が瞬く間に水没してしまいます。「津波のようだった」という証言がこの状況を物語っています。
(編集)
カミソリ型堤防になっているそうですね。
(石川)
堤防の基底が破壊しても浸水しないように幅広い輪中堤に改修する必要があります。
(編集)
街に溢れている水を排水するのに、随分時間がかかるようですが。
(石川)
ニューオーリンズ市の排水は、早くて80日、市民が生活できるようになるには半年はかかるだろうといわれています。東京の低地帯も、排水に時間を要し、数十万の人が路頭に迷う大被害となる可能性があります。堤防が壊れても浸水しない幅広い堤防が必要です。
(編集)
避難が出来なくて大変な犠牲者が出ましたね。このような事態の発生は予測されていなかったのですか。
(石川)
米連邦政府や州政府などの関係当局は、少なくとも5年前から、このような水害がニューオーリンズ市で発生すると想定し、机上演習を2回実施したといわれています。
その中で、貧困層の人々が避難できない事態の発生も予測し、車を持たない貧困層や高齢者10万人は、避難勧告しても避難は難しいと指摘していたそうです。
(編集)
予測はされていたのに、対策は立てられていなかったわけですね。東京では、被害想定や避難について、予測や机上演習をしているのですか。
(石川)
東京の0m地帯においては、避難の机上演習もなければ、地震時の水害発生の危険性すら発表されていません。
一時避難先は、自宅近くの3階以上の建物にするのが賢明です。その為には、日頃から避難場所を決め、避難受け入れについて住民が話し合い、合意を得ておく必要があります。そのためにも、水害の危険性を公表すべきです。
(編集)
今回のカトリーナ水害は、いろいろ重要な問題提起をしていますね。ありがとうございました。

■ 理事長に聞く  第3回(平成17年5月)

平成17年度の抱負を聞く
(編集)
当NPOの活動も、17年度で4年目を迎えますね。
(石川)
これまでの4年間は、スーパー堤防と一体の街づくりの必要性を認識してもらうための準備活動に全力を上げてきました。お蔭様でようやく地元の方々と話し合える雰囲気が出来てきたと思います。
(編集)
11月に開催予定のシンポジウムはその表れですね。15年の秋に、葛飾区テクノプラザでシンポジウムを開催しましたが。
(石川)
一昨年はスーパー堤防の一般的啓発を目的に開催しました。17年度のシンポジウムは新小岩公園のスーパー堤防化という具体的テーマについて論議されます。さらに重要な点は、地元の方々が中心になって開催されることです。
(編集)
昨今、地震、大津波、台風の水害等の自然の猛威が相次いで、防災対策について地元の関心も高まっているでしょうね。
(石川)
昨年度に実施した水位表示ポールの設置は、地元から「地価に影響する」という声が出て難航するのでは、と心配していましたが、ご理解をいただけました。
(編集)
「新小岩公園のスーパー堤防化」がテーマになったのは何故ですか。
(石川)
新小岩公園は地元葛飾・江戸川両区、11万人の避難場所ですから、火災等に対する避難施設や食糧、飲料水等の備蓄施設は完備しています。しかし、低地に造られていることから、大地震が引き起こす中川堤防の破堤による洪水に対しては、残念ながら無防備な状態にあります。
(編集)
住民の皆さんにとっては、早急な対応が迫られているテーマですね。どのようにこのテーマに取組むのですか。
(石川)
葛飾・江戸川両区や東京都はもちろんですが、地元の方々と相談し、地元の方々を中心に設立された「街づくりの会」が主催して、内容のある実質的な意見交換の出来るシンポジウムになることを願っています。さらに、新小岩公園のスーパー堤防化の動きが新小岩地区の街づくりの大きな第一歩となることを期待しています。
(編集)
新小岩公園のスーパー堤防化の進展は、「スーパー堤防と一体となった街づくり」に対する地元の皆さんの関心が今後どの程度高まるかにかかっていると思いますが。
(石川)
その通りです。昨年度に引き続き現場見学会や気温測定活動に一人でも多くの地元の皆さんに参加していただくよう呼びかけていきます。また、昨年度作成した 「浸水シュミレーション」は、地震時に堤防が決壊した場合に、どのような状況になるのかを具体的画像で示したものです。地元の皆さんの関心を高めるためには極めて有効な手段です。しかし、ようやく土台が出来た段階ですので、葛飾・江戸川両区の協力をいただき、内容を充実していきたいと思います。
(編集)
ありがとうございました。

■ 理事長に聞く  第2回(平成16年5月)

平成15年度の活動を振り返る
(編集)
15年度は、「街づくりに関心のある人の結集」を基本方針として、見学会に取組みましたね。
(石川)
いろいろな人を対象にして、見学会を開催しました。一つは、地元の方々に関心を持っていただくために行いました。地元の町会長さんのお骨折りで、大勢の地元の方々に、工事中のスーパー堤防や、隅田川の完成箇所を見ていただきました。
(編集)
大学生が大勢参加した見学会もありましたが。
(石川)
評議員をされている先生のお世話で東大や日本女子大の学生等若い人達を対象にした見学会を行いました。
(編集)
会員を対象にした見学会もやりましたね。
(石川)
私たち会員の資質を高めるための見学会です。スーパー堤防と区画整理を同時に行った現場で、地元の人の経験談を聞いたりしました。また、先進的な取組みをしている街づくりの現場もいくつか見学しました。
(編集)
基本方針の重要な柱となっていた「街づくりの手法の研究」については、どのように取組みましたか。
(石川)
勉強会の活動が中心です。街づくりの手法について東京都の都市計画部門や建設部門
さらに葛飾区都市整備部門の人達にも参加いただき実施しています。この勉強会で出された課題を整理するために、荒川下流河川事務所やリバーフロント整備センターにご協力を頂いています。
(編集)
15年度の活動のハイライトは、11月5日に開催されたシンポジウムでしたね。
(石川)
地元葛飾区と共催で実施しました。青山前副知事の講演や商工会議所葛飾支部長信川さんに励ましの言葉を頂きました。
(編集)
満席で追加の椅子が必要でしたが、問題点としては、どんなことがありましたか。
(石川)
地元の方の参加が期待したほどではありませんでした。地元へのPRが不足していましたね。これが反省点です。
(編集)
PR活動については、15年度でどのように取組んでいたのですか。
(石川)
「街づくりニュース」の発行がメインですが、速報性に欠けるので、ホームページを開設しました。これは大変大きな意義があります。9月からタイトル画面に伊藤良子さんの絵を載せました。これで随分イメージが変わり、親しみ深くなりました。
(編集)
活動が本格化すると財政基盤の充実が不可欠の課題ですが。
(石川)
NPOの財政基盤は会費ですから、会員の増加には力を入れています。発足当初は約50人でしたが、16年3月では90人を超えました。
(編集)
財政基盤の強化には団体・法人の支援も重要ですね。
(石川)
15年度は、団体会員として、(株)建設資源広域利用センターに入会して頂きました。また、シンポジウムの開催に対しては、地元の方々からご寄付を頂きました。
(編集)
会員の増加、事業手法の研究、PR活動の充実は16年度も引き続き取組む重要課題ですね。ありがとうございました。

■ 理事長に聞く  第1回(平成14年10月)

NPO設立のいきさつ
(編集)
どういう動機で、このNPOの設立を思い立ったのですか。
(石川)
荒川・中川は天井川になっていて、大震災が発生すると、荒川・中川の堤防が切れる心配があります。いったん水が市街地に流入すると、広範囲にわたり、長期間冠水する恐れがあります。徳倉さんと私は高校時代の同級生ですが、17歳の時でした。昭和28年、愛知県一色町で台風13号による大被害を体験しました。一万人ほどの街でしたが、死者16名、流失家屋441戸という被害を受け、水害の恐ろしさを二人は思い知らせされました。その影響でしょうか、私は、東京都で一貫して低地帯の防災対策、とりわけ「スーパー堤防」に関心を持っていました。公職を離れたのを機会に全く手がつけられていない荒川以東のスーパー堤防の整備にボランティアとしてお役に立ちたいと思っていたのです。徳倉さんは、長年この地域で事業をやってこられ東京駅から15分で、水辺環境に恵まれたこの地域を他にない安全で快適なすばらしい街にしたい、という想いをもっておられました。徳倉さんと昨年11月に話し合いスーパー堤防と一体的に街づくりを進め、安全で快適な東京一番の街づくりをめざして頑張ってみようということになったのです。
(編集)
スーパー堤防と街づくりとどういう関係があるのですか。
(石川)
スーパー堤防は、民地側を一街区くらい盛土して幅が200~300mの広い堤防にするのです。その盛土工事をするためには、1ha位更地にする必要があります。この時が街づくりのチャンスになります。
(編集)
隅田川は、スーパー堤防との一体的な街づくりが、かなり進んでいますが、荒川、中川が全く手がついていないのは何故ですか。
(石川)
解決すべき問題が山積みしているからです。危機感が乏しく、課題に取り組む仕組みが出来ていません。問題解決の責任を行政側にのみ負わせているのでは、いつまで経っても進みません。住民も参加して解決策を考える時代です。その橋渡しをNPOでやりたいというわけです。
(編集)
問題が山積みしていると言われましたが、例えばどんなことですか。
(石川)
荒川以東では、土地利用計画が戸建て向きになっています。現況もそれに従って戸建て住宅が連担しているので、街づくりの気運が起こりにくいわけです。
(編集)
この中川沿いのところも戸建て向きの土地利用計画ですから、街づくり計画など立てようがないということになりませんか。
(石川)
都市再生特別措置法の「特別区」に指定されたところでは、住みよい町に向けて、地元の人たちが都市計画案を提出することが出来るようになりました。水辺環境に恵まれ、都心に近いこの地域は都市再生特別措置法の対象になりうるポテンシャルを持っていますから、地元の熱意とこれを形にする仕組みがあれば、計画見直しは可能と考えています。
(編集)
危機感が足りないのは、河川改修や下水道の整備が進んだ結果、浸水騒ぎが起きないことも原因ではないですか。
(石川)
それもありますね。20年前は、ちょっとした夕立でも道路冠水の被害が出ましたが今は雨が降っても、長靴にしようかと迷うことなく短靴で出かけます。自分たちが水面より下に住んでいることを知らなかったり、知識として知ってはいるけれども現実感のない人がほとんどでしょうね。
(編集)
最近は、異常気象による河川氾濫が世界各地で相次いで起こっていますね。
(石川)
自然は人智を越えるものだということを忘れてはいけない。そのときの怖さをPRしていざというときの対応策を考える手助けも大きな仕事だと思います。
(編集)
発起人の顔ぶれは、随分多彩ですね。
(石川)
NPOをやろうと呼びかけたら、1ヶ月もしない中に発起人候補者が40~50人集まりました。この人たちのパワーのお陰で随分早く法人を設立することが出来ました。
(編集)
まだ、いろいろ伺いたいことがありますが、次の機会にしたいと思います。
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