活動の年次記録

「親子で語り継ぐ大規模水害時の避難について」出前授業(2017/2/18)

 
      平成28年度葛飾区地域活動団体助成事業(上期)
 「親子で語り継ぐ大規模水害時の避難について」出前授業報告
 
日時: 平成29年2月18日(土)『葛飾教育の日』 10:45~11:30 第3校時
場所: 松上小学校集会室
対象: 第3学年71名
講師: 東新小岩七丁目町会 町会長    中川榮久
    東京大学院     研究員    塩崎由人
概要: 前日の春一番が一転、当日はまた冬に戻り薄日が差す空模様だったが、程良い暖房と生徒達の若さが集会室を満たし、生徒達は、床に思い思い座りながら二人の講師を迎えた。
    中島先生の司会で始まった授業は、先ず年配の中川講師が、「皆学校から帰ったら何やるの?」と切り出した。
生徒達から一斉に、「宿題をやる。テレビを観る。・・・」の声が帰って来た。 すかさず講師は、「何を見ているの?」と聞き、生徒達は「アニメ!」と答え、講師は、「ニュースは観るの?」との質問に全員が「観ている。」と答え、講師は糸魚川の大火や熊本、鳥取の地震について反応を確かめながら、「東京に地震が来、中川の堤防が切れたらどうなる?中川の水面と皆が住む地面とはどっちが高い?」と問い掛け、生徒達からは、「川の方が高い。」との答えが返ってきた。
 次いで講師は、「君達よりちょっと年のいった6年生の時、2階ぐらいまで水が漬かったんだ。若し水が来たらどうする?」の問いに生徒達は、「屋上に逃げる。」と答え、講師は、「学校に来られない場合どうする?」等の遣り取りを続けながら生徒達との距離を縮めて行った。
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また、次第に整備されている中川のテラスを「皆歩いたことある?」では「ある!」と大勢が答え、続いて「テラスでは最近1メートルもある鯉が釣れ夜、大人はスズキを釣ったりしているよ。おじさんが皆と同じ頃、水害の時は何週間も水が引かなかったけど、水が引いた後に近所の金魚屋さんから逃げ出した魚をタモで捕まえるのが楽しかった。」とさり気なく話題を切替えた。
そして最後に、洪水時の避難について、「家に居る場合は先ず、高い所へ逃げる。お父さんお母さんと相談して逃げる。葛飾区から初めに避難準備、次に避難勧告、更に避難指示と順を追って放送が流れるからそれに従って行動して下さい。その際、お隣のお年寄りを助けてあげて下さい。」と結ばれた。
中川講師の話を受け塩崎講師は、スクリーンに、中川七曲りのテラスから見えるスカイツリーを映し出しながら今日のテーマ「安全で快適な街を目指して、水と親しみ水に備えよう!」を語り始めた。
画面は一昨年鬼怒川の堤防が決壊し、常総市を襲った水害から70年前のカスリーン台風で、葛飾区民が筏に乗っている写真を示しながら、「中川会長さんはその時どうされていましたか?」との問いに、中川講師は、「上平井小学校へ筏で食料を受取りに行きました。」と答えた生徒も居た。
 総武線の線路上に避難している人達の画面では、「さっき中川さんが言ったように先ず、高い所に逃げよう。処でゼロメートル地帯って皆知っているかな。」と問い掛けると、全員が「知っている。社会科で習った。」と手を挙げ、中には「海より低い所を言う。」と答えた生徒も居た。
 講師は、西新小岩三丁目の中川水面と背後地の家の高さを映し出しながら、生徒に自分達の住む土地の低さを印象付けた上で、「ではクイズを出します。地面が下がったのは何故か? ①地震で地面が下がった。②魚が地面を持ち上げた。③地下水を汲み上げた。」生徒の答えは①と③に集まり、②にも数名が手を挙げた。
 「正解は③です。ここに地盤沈下の目撃者がいます。」と言って、井戸が地面から突き出ている画面や、水害時の浸水深さを電柱に赤帯で表示した画面、更に自分の居る場所の浸水深をスマホで疑似体験できる葛飾区が作った防災アプリ「天才!学くん」の画面等を次々に紹介した。
 生徒達は画面が変わる度に反応し、電柱の赤帯では「津波が来る高さ! 水害はトイレの水も流れてくる。ウェ!」、防災アプリでは「無料ですか? 使ったことがある。」、町会のボートを使った二上小学校プールでの救援訓練では,何名かが「ボートに乗ったことがある。」と答えていた。
「葛飾や地域の中でも逃げられる場所があるよ。新宿未来公園って知っている?」の問いに、「行ったことがある。今日行く。」と答えが帰って来、地域の逃げる場所では、「中川町会長さんの逃げる所は決まっていますか。」と問い掛けると「はい!決まってます。」と力強く答えた。
 一方、「水があるからこそ楽しめ遊べることがあります。」と話題を切替え、画面も中川七曲りの俯瞰写真を始め、世界の水の豊かな街の様子を映し出した。
 「本田圭佑選手が初めて行ったオランダは、陸地の4分の一がゼロメートル地帯で、街の中に水路が多くあって、船がレストランやカフェになっていて水辺で楽しんでいます。」続いて橋の上から川へ飛び込んだり、ヨット遊びをする子供や狭い川を船に乗って通学する姿に生徒達は、「ワァ!いいな!・・・」と羨望と興奮気味な様子に先生が堪り兼ね、「静かにしなさい!」と注意し、講師は、「まぁ・まぁ」となだめる場面もあり授業が盛り上がった。
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静かになったところで、水と共に生活している船の家やパリセーヌ川を海辺のビーチに見立て寛ぐ人と砂の城を眺める人々、大きなボールを川に浮かべその中で遊ぶ子供達、の画面に釘付けになった生徒に講師は最後に、「川も工夫次第で楽しい所になりますね、
皆さんも大人になったら是非水に親しんで下さい。」と結び、授業は終わった。
終わりに中島先生が、「今日は大変面白かったですね。講師の方々から二つのテーマで専門的な話を分かりやすくして頂きました。大切な知識でした。家に帰ったら家の人にも話してみて下さい。20~30年後は皆が今の大人たちを守って下さい。」と挨拶し、生徒達は「有難う御座いました!」の声と共に集会室を後にした。
この出前授業開催に当たり、大変お世話になった渋谷校長先生はじめ青木副校長先生、第3学年主任中島先生に心より御礼申し上げます。
有難う御座いました。
 
 
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