活動の年次記録

出前授業「親子で語り継ぐ大水害時の避難について」

 
平成27年度前期葛飾区地域活動団体助成事業
「親子で語り継ぐ大水害時の避難について」松上小学校第3学年出前授業
 
 
場所: 松上小学校体育館   
日時: 平成28年1月23日(土)「葛飾教育の日」8:45~9:30
講師: 中川東新小岩七丁目町会長(当NPO理事)
    塩崎由人東京大学院博士課程
 
大寒の底冷えがする第一時限の体育館は、1台の大型石油ストーブで3年生94名を暖めていた。
 
 3学年主任白木先生が、「皆さん元気よく講師の先生方を迎えましょう。」の掛け声と、中川町会長さん、塩崎さんの自己紹介で、授業は始まった。
 
中川町会長さんは、「私はこの地で80年生き、今ワクチャレのリーダをしていますが、皆さんはワクチャレって知ってますか。」と、緊張をほぐす質問に大勢の生徒が「知ってます。」と答えた。
 
 続いて、「皆さんの一番怖いものは何ですか。」の質問に、「地震、カミナリ」の声と共に、「竜巻!」と言う答えが上がるや、講師はすかさず、「私が皆さんと同じ頃、ここは鍋やヤカンを作る工場でした。ある日、地域と工場が交流する運動会が開かれ午後に入ると突然西の空に黒い雲の塊が竜巻となって近付いて来るのが見え、舞い上がったドラム缶同士がぶつかる音と、『建物の中に逃げ込め!』の叫び声で、私は目の前のどぶ川を一気に飛び越えたと思った途端、ドボンと落っこちてしまい、周りの人に助けられ、体中泥だらけになって工場内へ逃げ込みました。
 
後になってどぶ川を見に行くと、川幅が4.0mぐらいで落っこちた直ぐ横には橋があり、正気であれば橋を渡り、ましてや飛び越えよう等とはしなかっただろうに。
 
子供心に何でそうなったかを考えました。
 
そして ①、頭が真っ白になって、落ち着きを無くした。
     ②、地面が上がって、川が跳べる幅に見えた。
     ③、冷静に考えられないで、行動が先に出た。
 
皆さんも、万が一水が来たとき浅いうちに、逃げようとしないで冷静になって考え、絶対慌てないで行動して下さい。」と結ばれた。
講師の経験談は、生徒にとって明日起きるかも知れない身近な話しで、我が身と引き換えられ、皆、一様に興味深げに聞き入っていた。
 
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 中川町会長さんの話を引取り塩崎講師は、落着いて行動するには、災害を知って、心の準備をして置くことが大事です。災害にも色々あってここ新小岩は、カスリーン台風で街が水の中となり、「中川町会長さん、何週間水に漬かってましたか?」の質問に、「3週間程屋根や土手の上で生活していました。」と答えると、生徒達は「へっ!」とびっくり声を上げた。
 
次いで講師は、「ゼロメートル地帯って知ってますか?」との質問に大半の生徒が「知ってます。」と答え、次の質問「地面と川の水面ではどっちが低いですか。」にも殆んどが「地面の方が低いです。」と答えた。
 
今度は講師が吃驚し、「ではクイズを出します。」と言って、「地面が川より低いのは何故ですか。低いのは、①地震で下がったから、②魚が水を持ち上げたから、③地下水を汲み上げ過ぎたから。」の答えに①と③がほぼ半数、②と1名が答えた。
 
講師は、「正解は、③です。中川町会長さんは地盤が下がった様子を知る目撃者ですね。」に会長さんは深く頷いた。
 
続いて、「堤防が切れて水が来たら街はどのくらいの深さになるかを示す、赤い帯が電柱に貼ってあるのを見たことがありますか?」の問いに大勢が「あります。」と答え、更に「赤い線まで水が来ます。」と答える子もおり、授業は自然と水害の話に移っていた。
 
「水害から身を守り落ち着いて行動するには、情報を集めることです。ここで皆さんにお願いです。家にある『ハザードマップ』と、スマホがあればアプリ『天サイ!まなぶくん』を家族と開いて見て下さい。」と宿題を出しながら、スクリーンに地元が取り組んでいる水害に備える色々な訓練の様子を映し出した。
 
授業時間も次第に押してきた頃、講師は、「水があるからこそ出来る、水と親しむ世界の街を紹介しましょう。」と、オランダとベルギーで自身が撮影した橋の上から運河に飛びこむ少年やヨットを操る子供達の姿、船を横付けする川沿いの家並み、ボートハウス、水に浮く家或いは、セーヌ川をビーチに見立てた風景等次々に珍しい画面が登場した。
 
生徒達はただ吃驚した様子で引き込まれていたが、やがて講師の「水害の危険がある川も工夫次第で、楽しめる川にする事が出来ます。七曲りのテラスも地域の魅力になると良いですね。」の言葉で我に返り、終了時間となった。
 
 
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 別れ際、生徒達は中川町会長さんと塩崎講師に代わる代わる握手を求め体育館を後にし、本授業を終了した。
 
 最後に、いろいろ準備して頂いた渋谷校長先生はじめ白木先生や3学年担任の先生方に心から御礼申し上げます。
有難う御座いました。

 

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