シンポジウムの記録

第2部 パネルディスカッション

石川理事長"川を中心とした街づくり"を力説

パネルディスカッションの様子

(司会)コーディネーターをお願いする守田優先生は、芝浦工業大学工学部教授で、都市環境工学をご専門としておられ、特に都市の水循環で業績を上げておられます。
 次にパネラーとしてここからご参加いただいたア!安全・快適街づくり理事長の石川金治様は、河川だけでなく建設行政全般に携わってこられた経験をお持ちで、スーパー堤防についても造詣の深い方です。
 また、渡辺勇様は「空堀川に清流を取り戻す会」の副理事長です。
 それでは守田先生パネルディスカッションの方、よろしくお願いします。

(コーディネーター)東京の河川は、水害が頻発し水質も劣悪だった60年代、70年代の状態から80年代90年代に入ると、河川に関するキーワードは、アメニティ、清流復活、水環境の健全化、最近では文化とかに変わってきました。つまり、従来の行政主導ではなくて、市民がイニシアチブを取っていろいろ提案していく、行政と一緒に川を作っていく時代になってきた。そこで行政と市民との共同ということが非常に大事になってきて今回のテーマ「21世紀の東京の川、NPOあるいは市民団体との連携のあり方を考える」があると思います。
 では、パネラーの方の意見を伺います。

〔各パネラー自分の意見を述べる。〕
 さて、石川さん、会の名前、「ア!」というのはどういう意味か説明願います。

(石川金治理事長) 会の名前からまず入ってほしいとのことですね。
0メーター地帯というのは、堤防がなかったら普段は水底なのですが、低地帯に住んでいる人たちは、それをほとんど意識しないで住んでいます。だから皆さんに「ああ、僕が住んでいるのはそういう所か」ということに気づいてほしいこと。もう一つは、今、NPO雨後の竹の子みたいにできていて非常に数が多いです。その名簿はどういう順番に並べているか聞いたところ、片仮名、平仮名、漢字の順だそうです。だから、片仮名のアを付けましたが、実際はそこに住んでいる方々に自分がどういう所にすんでいるか認識してほしいことから名前を付けた訳です。
 先ほどの意見発表の要点は2つあります。
 1つは、低地帯に住んでいるんだから、いつでもそういう危険だということを意識しないで住めるようにするには、どんなときでも切れない堤防を建設すること。
 もう1つは、せっかくそういう堤防をつくるのならば、そのときに街づくりも一緒にやると川側にも町側にとってもメリットがたくさんあるという2点です。
さらに、もう1つつけ加えると街づくりというのは、今、元気のない日本を再生するのに必要な事業であると言いたいですね。というのは、日本が生き返るには、まねのできない付加価値の高い製品をつくるとか、デザイン性の優れた物を作るといったクリエイティブな仕事が不可欠です。
そういう人たちが活躍できる場をつくろうというのが都市再生です。
しかし、工場跡地は企業の本社や、金融機能を担う業務、商業地区に利用されていて、東京にはもう大規模な工場跡地はありません。従って、都市再生をするには、平面的な土地利用を立体的な土地利用に変えざるをえません。
その都市再生が都心を中心に行われていますが、今言ったようにスーパー堤防事業に合わせて街づくりをやることは付加価値がいろいろあるわけですから、周辺区にも都市再生に必要な事業があると強く主張したいですね。

(コーディネーター)今公共事業と絡ませるというようなお話でしたが、行政とのかかわりに関して、これまで経験されたこととか、問題点とかありましたら、お話ください。

(石川金治)NPOを設立して経験したことは、「NPOも玉石混合なんだよ。行政にとって都合のいいものと、悪いものとがある。だから、行政の公平性の観点から、一部のNPOだけに参加するわけにいかないので、いっそのこと全部参加しないんです。」という話が行政側から帰ってきます。これがやっぱり我々にとっては一番悩ましいところです。今日河川部さんは、このようなシンポジウムを開いていただき、そういう面では大変先進的な考えを持っていただいているので感謝するわけですけど、まだまだそういう意識はみんなに伝わっていないという感じがします。

(コーディネーター)住民の間の温度差みたいなものがある中で、どうやって運動を立ち上げて盛り上げていったらいいか意見を聞きたい。

(石川金治)先月、「全国河川サミットin江戸川」というのがありまして、お願いしてブースを1つ借りました。そのときに、江戸川区でやっているようなことを宣伝して下さいという話しでしたが、やっぱ水防というのは区ごとにやっていたのではダメなので流域全体で考えようということで、カスリーン台風の浸水図や、水防活動を図面や写真で展示しました。
これは、水防は流域全体がまとまらないと出来ないという認識をもってもらうことと、「ああ、自分たちはそういう危険なところに住んでいる」ということで、連帯感を持ってもらうためです。こいうふうに、一人一人に川との関わり方をPRしていくことが連帯につながっていくのじゃないかと思います。

(コーディネーター)最後に、お一方ずつ簡単に、21世紀はどういう川が望ましい川なのか、その理想を言って下さい。

(島 正之)川は都市の中の自然の楔です。東京に「水の都」をつくりたい。(岸 由二)川が都市を地球向きに再生させるパートナーとして川を育てていく。(小倉紀雄)行政枠を越えて流域単位で川のあり方を考えて行くべきである。
(石川金治)今のお三方の意見と同じですが、切り口を変えて申しますと、「川を中心とした街づくりをしてもらいたい」と思います。
東京の都市計画は、「街路」を中心にしてできていますが、もう1つ「川」を中心にした町というものも考えていただきたい。江戸時代下町では運河を、山の手では多摩川上水を、都心では伊達政宗に神田川を掘らせています。
戦後は、川を埋め立て、川に高速道路を乗せ、地盤沈下に対しては、かみそり護岸を作るなど言ってみれば川に対して悪いことをいっぱいしてきたわけです。だから、今言ったことを反省してそれをもとにもどしていくというのが21世紀の川のあり方ではないかと思います。

(渡辺 勇)もう一度きれいな水が流れて、鮎が住んで、そこに植物があって木があって、そして山を守っていく、これがもう一度この21世紀に問われた川のあり方ではないかと思う。

(コーディネーター)それぞれ非常に興味深い河川観をお伺いすることが出来ました。今日参加していただいたパネラーの方は、これまで市民運動でいろいいろな実績を重ねられ、ノウハウを蓄積されてこられたわけです。
今日集まった方々とそれらを共有して、21世紀の東京のいい川をつくっていく運動を一緒にすすめていただければと思います。
 では、これでパネルディスカッションを閉めます。どうも有り難う御座いました。

pagetop
pagetop