勉強会の記録

川づくり勉強会

小松川地区スーパー堤防の説明を聞く参加者

小松川地区スーパー堤防の説明を聞く参加者

江戸川区平井七丁目地区、江戸川区小松川地区、小名木川ロックゲートを見学

 去る4月15日、川づくり勉強会による現地見学会が開催されました。今回の見学会は、明治大学理工学部建築学科の園田助教授と同学科の大学院生、大学生十数名を中心として、一般の方、ならびに当NPOの会員が参加して行われました。見学会は、土地区画整理事業とスーパー堤防整備事業が一体的に実施されている平井七丁目地区を皮切りに、小松川地区、小名木川ロックゲートを見学し、その後、小松川リバーステーションからあらかわ号に乗船して荒川、隅田川のスーパー堤防事業を川から見学するという、とても内容の濃いものとなりました。

平井七丁目地区
 石川理事長の挨拶の後、荒川下流河川事務所の前田専門官、江戸川区の新村区画整理課長より事業の説明がありました。
 平井七丁目地区は、既存の木造密集市街地を住民及び行政が一致協力して、土地区画整理事業によるまちづくりを進めながらスーパー堤防化を果たした全国初の事例です。面積1.2ha、220人の住む住工混在の街を、約3年余の工事により地区全体のスーパー堤防化が完了し、現在、地権者の方々の住宅が建設されている真っ最中です。
 見学に際し、次のような質問がありました。

Q1:この事業における、国、都、区の役割は?
A1: 地区の面積が少ないことから、区画整理の施行者は区となり、都はそれを事業認可する立場でした。国はスーパー堤防事業を施行しました。
Q2:整理後の街並みが戸建住宅中心となっていますが、住宅の共同化、積層化は考えなかったのですか?
A2:勉強会を開催し、共同化についての地域住民の意見を求めましたが、共同化には至りませんでした。
(石川理事長より)当NPOでは、区画整理後の街づくりに対して、共同化を推し進めるためのインセンティブ(容積率、建ぺい率のアップなど)について、勉強会において検討しています。

小松川地区
 荒川下流河川事務所の前田専門官より説明がありました。小松川地区のスーパー堤防は、東京都施行の再開発事業(亀戸・大島・小松川地区市街地再開発事業)にあわせて行われたスーパー堤防事業であり、盛土工事自体は平成2年から行われています。現在はスーパー堤防上に江戸川区の千本桜公園が整備されており、見学会当日も桜の名残を感じることができました。

小名木川ロックゲート
 小名木川ロックゲートについて、荒川下流河川事務所の鈴木さんより説明がありました。ロックゲート(閘門)は、荒川と新中川の水位差(最大約3.2m)があるなかで、船の通行を可能にする施設で、現在建設が進められています。65mの間隔で設置されている2つの水門の開閉と、その水門間の水位の調節により、約20分で荒川と旧中川を船で往来できるようになる計画です。新たな水上交通による人々の交流が期待されており、また、災害で道路交通が分断された時などは、内陸部への物資輸送に舟運を利用することにより災害復旧を進めることを想定しています。

荒川から隅田川へ
 荒川下流河川事務所の菅原さん、東京都建設局河川部の西村係長から、それぞれ荒川、隅田川の状況や、スーパー堤防事業の現状についての説明がありました。荒川下流部30km(両岸60km)の内、スーパー堤防化された箇所は約15%(約9km)であり、隅田川は46.3km中、約19.5kmで整備予定、約10kmが完成しているそうです。川からそれぞれの街並みを眺めると、スーパー堤防化に成功した地区はいずれも緑豊かな斜面が実現されていて、水と新緑のコントラストが美しい街並みとなっていました。様々な事情から、スーパー堤防化が遅れている地区についても、早期に整備され、防災面でも環境面でも優れた街づくりが実現されることを強く願いつつ、見学会が終了しました。

 今回の見学会で大変お世話になりました荒川下流河川事務所、東京都建設局河川部ならびに江戸川区土木部の方々に深く感謝いたします。ありがとうございました。

 参加した明治大学の学生の方から、「スーパー堤防の仕組み等、知らない点もあったが、その必要性等について深く理解できた」、「事業完了後のまちが安全・快適なものになればいいと思う」等の意見・感想が寄せられています。以下に、その一部(抜粋)を掲載します。

【感想】
・都築 圭さん
まだまだスーパー堤防も途切れ途切れだなというのが良く分かりました。隅田川の堤防でよく見かけたテラス式の堤防も、なんだがテラスが単体で河川沿いに延びている風に見えてしまい、その奥の建物や空地などとの関係があまり良く分からなかったのが残念でした。そう考えると、荒川、隅田川に限らず、スーパー堤防というのは、単に「まちを守る」機能だけでなく、「陸地空間から水辺空間」のデザイン、「水辺空間から陸地空間」のデザインもうまく設計されれば、快適な水辺親水空間が出来るのかな、と思いました。

・中丸 絢子さん
今回参加して、初めてスーパー堤防を知りました。私が住んでいる場所は、川・水とは少し縁遠いところなので、堤防との暮らしについて今回をきっかけに意識していこうと思います。また、狭小地であったところの整備についてもいろいろな役所の連携があることが分かりました。少しややこしくならないかという疑問もあったのですが、コスト、工期のことを考える上では重要であると思いました。また、区画整理されたことは良いと思いますが、少々狭い感じもしました。安全で快適なまち、住まいになればと思います。

・難波 匡甫さん
平井七丁目で共同化が実現できなかったことは残念に思いました。こうした事業で河川へのアプローチが楽しめるオープンスペースが整備されれば素晴らしいと思います。それには石川理事長のお話にあったようなこと(区画整理後の街づくりに対するインセンティブなど)が重要と感じました。

・宮崎 潤さん
スーパー堤防についてはとても良い試みだと思いました。土地の有効活用などもなされ良かったです。ただ、出来るならもっと水を有効活用できたらと思います。ヴェネツィアやバンコクなどは足としての水運が発達しています。もちろん江戸にもあったと思うのですが、水上行動も併せて考えていただけたら、ただの治水だけではなく、様々な人々にも魅力的な空間となるのではないでしょうか。

・金子 将人さん
 スーパー堤防を初めて見学しました。名前は聞いたことがあったのですが、川の氾濫を抑えるだけという考えしかありませんでした。しかし、実際に事業計画や現場を見学すると、まちづくりや建築と大変深いつながりがあり、私達も勉強しなければならないと思いました。

 その他にもたくさんのご意見・ご感想をいただきました。ありがとうございました。

pagetop
pagetop